「認知症犬」を保護しました

 元旦の夕方、久しぶりに帰ってきた子供たちと妻、私で
人気の少ない住宅街を抜けた山際の道を散歩していたところ
坂道の上の方から白茶のイヌが右に左に、フラフラしながら
歩いてくるのが見えました。
 そこへ車が猛スピードで入ってきましたが、そのイヌは
よける気配もなく道の中央付近を今度はウロウロ。
はねられるかと思った瞬間、ドライバーも正月早々…と思ったのか
急ブレーキで避けて行きました。
 これを見た、ネコ好きの娘は、「このままではそのうち、ひかれる」
と、そのイヌを捕まえに駆け出しました。
 連れてきたイヌは、ろっ骨が出るくらい痩せていて
しかも目はうつろ、ワンともいえない状態でした。
 幸い、首輪に飼い主の住所と電話番号が書いてあり
連絡を取ると、すぐに引き取りに来ました。
女性の飼い主は、コロという名の愛犬を見るなり
大きな声を出して泣きながら、コロを抱きしめました。
 それでもコロ君に反応はなかった。「1週間くらい前にいなくなり
ずっと、探していました。すっかりボケてしまっていますが
可愛くて…」
何度もお礼を言い、彼女はコロ君と帰って行きました。
それを見送りながら、うれしいようなわが身の将来ともダブって
くるような微妙な気分で、すっかり暗くなった中
散歩を続けました。