友あり、メキシコより来る

メキシコに住みながら絵を描いている若い友人の女性が、今年も個展のための絵を携えて帰ってきた。銀座の画廊で観た今年の絵は、去年以上に明るく楽しいものが多かった。
10年以上前の初の個展の折、「儲けたら大きいのを会社に飾らせてせてもらうよ」なんて調子のいいことを言ったのを覚えているが、いまだに実現していない。彼女に謝ると、笑いながら「元気に観に来ていただくだけで十分。これでも最近は大学の先生が自分の教科書の表紙に使ってくれたり、メキシコでも売れて……」などと逆に当方を安心させてくれる。
文章もうまいし、社会的な視野と関心も広い人なので、絵とエッセイとで本を作ってみたいと思っているのだけれど、今度はいい加減なことは言えないだけに、今年も切り出せなかった。来年には……。      福士