最高!の「生活音」

 夏の朝は早くから動き出す。明るさの増す5時ころだろうか。裏手の斜面にある雑木林から、まず「ちょっと来い、ちょっと来い」と聞こえるコジュケイの甲高い鳴き声が10回近くも続き、目というより耳が覚める。その後すぐにウグイスだ。ここのウグイスはいつまでたっても歌うのが下手みたいで、すんなり「ホーホケキョ」とは決められずに、「ホーホケキョのキョ」と「余り」が出る。
 この個性的なウグイスの練習の合間を縫ってシジュウカラが「スピスピ」と可愛い声で鳴くし、「チッチッ」とメジロも参加してくる。するとそろそろ賑やかなスズメも出てくるし、遠くからカラスの濁声も。しかし、時を同じくしてヒグラシ(セミ)の、あの何とも物悲しいというのか、心に染みいる「カナカナカナ」が聞こえると、カラスの濁声はその引き立て役だったのかと思え、「これが天の配剤か」などと、醒めぬ頭で感心したりする。
 そうこうするうちに、ニイニイゼミアブラゼミ、さらにはミンミンゼミ、バスや通勤のマイカーなどうるさい連中がドッと出てきて、当方の生活音もそこに参加することになる。
 そんな「日常性」のある幸せを壊された多くの人と家族のいることを改めて思ったりするのも、こうした時である。   (福士)