もうすぐ松茸の季節がやって来ますが―

マツタケ(松茸=子実体=をつくる菌類の)の研究をしている友人が今、シャングリラ、チベット高原マツタケの起源を調べる日中などによる国際調査隊に参加している。世界のマツタケの発祥地がこのあたりだというのを遺伝子レベルで解明するため、松茸を採ったり、地中にあるマツタケの菌糸の塊であるシロを掘ったりするみたいだ。
食べることしか頭にない当方だが、まだ実現を見ていない松茸の人工栽培の基礎になるような情報にもかかわる調査のようでもある。
関係者の話だと豊作といわれた昨年でも国産松茸の生産量は数十トントンとか。私たちが生まれる少し前の昭和10年代前半には1万2000トンも採れたというから、松茸を知らない若者が出てくるのも当然だろう。日本人以外は、あの香りが嫌いということで、中国でも日本への輸出が大半だったのが、今は見直され、中国国内での消費が急増していて輸出量はかつての半分以下。それでも国産よりはるかに多い1500トンある。
この国産松茸の激減のわけは日本の里山の荒廃なのだけれど、問題の解決は実に困難と思える。
先の友人は研究と里山再生の第一人者で、実際に京都市左京区岩倉のアカマツ林で毎週最低でも1回、数十人の仲間たちと6年余にわたって松茸復活をめざして山の手入れを続けているが、それでも広い山にやっと松茸が数本戻ってきたくらいだ。「収穫を喜ぶ」くらいになるには、これからまだ10年はかかるらしい。一度壊した自然の回復の困難さを改めて思い知る秋の訪れである。                  (福士)