物忘れが多くなる世代だけに、しぶとく覚えていよう

 2012年の「書き初め」です。今年もお付き合いとご参加の程お願いいたします。
 さて、ベトナムラオス国境でマラリアの発生を調査している研究者からのレポートです。なぜかこの地域でマラリアの発生が極度に多く、その原因を調べているのです。それはどうやら、終結から40年近くにもなる、あのベトナム戦争と深くつながっているようなのです。あの地域はかつてホーチミン・ルートということで、枯れ葉剤やナパーム弾も含めて猛烈な北爆に見舞われたところです。
 今は緑が蘇っているかに見えるものの、その下には大型爆弾によって出来た窪みがいまだに無数にあり、そこに水が溜まりマラリアを媒介する蚊の幼虫・ボウフラの発生源になっているのです。
 そんな穴、40年もたてば草が茂り、木が生えて埋まっていくだろうと思ったら、大間違いなのです。爆弾は大変な圧力で破裂するので、穴の周囲の土は水を通さない程コチンコチンに硬くなってしまい、雨季に溜まった水がいつまでたっても残るのでマラリア蚊には格好の棲みかというわけです。
 戦争の傷跡は人にも自然に対しても「しぶとく」影響を及ぼし続けているのです。
 ひるがえって「3.11」。私たち日本人は結構早く歴史を忘却する傾向があるようなので、ここは「しぶとく」記憶にとどめ、粘り強く我がこととしてかかわっていかなければ、との思いを新たにしています。(福士)