「人権週間」で思うこと

 12月10日までの「人権週間」が終わった。これにあわせて国、各自治体などからさまざまな「啓発冊子」類がいっぱい発行され、「啓発活動」の重要性を「これでもか」というくらい書き連ねる。
 そこで、「へそ曲がり的人権重視派」の僕は、いつも違和感を感じるのである。かつては啓蒙といっていたのだが、蒙は「真っ暗闇」のことで、それでは一方的、上目線というので啓発になった。それでも「誰が誰を啓発するのか」ということが気になる。配られる文書を読む限り「行政が市民を」という文脈だ。そうでなければ、「自己啓発」などという言葉は生まれない。歴史的なことを考えれば、行政、官が国民、市民を差別してきた問題は山積している。
 しかも、文章を読み進めると、やたらと説教調で、しかも客観的なデータ、科学的なエビデンスに欠けるのである。たまにあっても古い古いデータである。それを今起きているかのように使っている。加えて「国民一人ひとりの意識が問われている」などとくるから、へそ曲がりとしては我慢できなくなる。「人の心の中まで探るのか」だ。
 大事なテーマだけにしっかりしたデータをもとにオープンに考え、議論したい。                (福士)