松茸の“話”を肴に大いに酒を飲む

 晩秋の京都に行った。といっても、おそい紅葉見物ではない。
観光客など全く来ない京都市郊外の過疎地のアカマツ林で、
採れなくなった松茸を復活させようと、汗だくになって
林内に積もりに積もった腐葉土を掻き出し、多すぎる雑木を
切り出したのである。
 今、国産松茸は山の荒廃で、それこそ絶滅危惧種になるほど
激減していて我々の口に入ることはほとんどなくなった。
「まつたけを 食べずに過ぎた 60年」
なんて川柳が新聞に載り話題になるくらいだ。 
 そのまつたけ山を復活を復活させたいと活動を続ける
京都まつたけ十字軍のボランティア20人に飛び入り参加したのだ。
彼らは京都市左京区の山で、山の所有者の理解と協力のもと、
すでに4年にわたって活動していて、全く松茸の発生しなかった
山を手入れした結果、松茸の復活をみている。
 総勢70人がそれぞれの都合に合わせて楽しく活動を続けている。
彼らの活動を知った、今は山が荒れて松茸が採れなくなった各地の
“元まつたけ山”の持ち主などから依頼され、復活のための
作業に出掛けている。
 私が参加した地域は、地元の山林所有者たちの
「まつたけ生産振興会」はあるものの高齢化が進み、
傾斜地の力仕事はままならない。
 大汗をかいた仕事の後、皆で飲んだビールの味は格別だった。
もちろん、肴は「夢見る松茸の復活話」。こうした都市住民と
山間地住民の夢いっぱいの交流をいっそう広げようと
語り合いながら、つい、やった仕事以上に飲んでしまった。