目立たぬ人が表に……それもまたよし

 「これまで、目立たぬように、静かにいきてきました……」「私は妻や子供にも言葉数が少ないと言われるほどで……」
 これって誰の言葉だと思いますか。じつは同窓の高22回の代議士、松本龍さんです(この5月に日経BPから出た『環境外交の舞台裏――大臣が語るCOP10の真実』より)。興味のある方はお読みください。なかなか興味深い内容です。
 彼は福中でも後輩ですが、実際に彼と言葉を交わしたのは、もう20年近く前のことです。友人の友人の国会議員の出版記念会に出かけた折に初めて会い、私もジャーナリストとして取り組んでいた部落問題について松本治一郎の孫の彼に議論を仕掛けたのでした。運動体の問題点を突く私に対して、大きな運動体の中核にいる彼は反論することなく、静かに聞いていました。そんな思い出があります。その後も何回か、少しだけ言葉を交わしてきました。
 そしてこの4月23日の東京同窓会の懇親会に彼は姿を見せました。ここでももっぱら静かに舞台を眺めているように見えた彼の傍に行って、防災担当大臣として頑張っている彼に「お疲れさま」と声をかけると、彼が珍しいくらいよく話してくれたのです。それを聞いていて、「昨年10月のCOP10の議長に続いて震災対応の中心に座って、この男腹が据わったな」と感じました。「こんな未曾有の歴史的な大事に遭遇した政治家は、やるべきことをやり抜くだけです」などと語った松本さんは、いい顔をしていました。
 政治家など褒めたことのない私ですが、そう思ったのです。復興担当大臣として腕をふるってほしいですね。(福士)