マスコミの信頼度について

 かつてマスコミに身を置いた一人なのだけれど、政治家や行政などと同様に、市民である読者・視聴者がしっかりチェックしていないとマスコミは危ういところのある存在だということを「3.11」以来、改めて感じていた。あの原発事故直後の何日間かの切り込み不足、勉強不足の報道内容を思い出していただきたい。「書かないという怠慢」もあった。
 最近、その怠慢の典型例を知った。韓国の芸能情報は連日のように流れているが、その韓国でパチンコが法律で全面禁止になっている(らしい)というのを僕は全く知らなかったのだ。仕事柄、全国紙を2紙取り、他の新聞を読む機会も結構あるのに、もう5年以上前に起きたこの出来事は目にも耳にもした記憶がないのだ。皆さんはご存じでしたか。僕の周りで知っていたという人物に、僕はまだ出会っていないのである。
 つい先日知って、インターネットで検索してみると、少ない情報はあるにはあるけれど、2006年のことだったり、あるいは07年、08年とあったり、しかも職業の自由という憲法上も高度に保障されている権利を制限するとなると法的な議論も多々あったと思えるのに、その点まで踏み込んだ記述は見つからなかった。1万軒以上の店があり、3兆円市場(韓国の人口は日本の半分弱、国民1人あたりGDPは4分の1なのだから比重は日本並みだろう)を形成していたというではないか(ちなみに日本のそれは1.2万軒で20兆円)。産業としても存在感はそれなりにあっただろうし、パチンコをめぐる事件、事故も日本同様にあったはずから、日本にとっても重大なニュースなのに日本のマスコミは報じていないようなのである。
 不思議であり、恐ろしくもある。継続取材してみたい。(福士)