幸福な社会づくりへの参加

 今、ある慢性疾患の患者さんの団体と「幸福な社会づくり」について話し合っている。日本には「患者の権利宣言」がいくつもあるのだが、ほとんどが医療者側や公立病院を運営する行政サイドからのもので患者自身による「権利宣言」は見当たらない。
 彼らはそれを作ろうというのである。わたしは仕事柄、医師や医療行政のことなど少し知っているというのでサポーターである。社会的に弱い立場の慢性疾患の患者さんたちは、ともすると受け身になり、「何なにをしてほしい」的な立場になりがちなのだが、彼らは財政難から抑制圧力のかかる医療費問題に直面しながら、現在の困難な日本の状況を自分たちの問題としてその解決に主体的に積極的にかかわり、国民、市民の立場で一緒に取り組んでいこう、というのである。
 弱い立場だからこそ見えること、言わねばならないことがあり、やれること、やらねばならないことがある、との覚悟だ。いわば彼らの「世直し宣言」といえる。ストレートに「世直し」というとインパクトがあるけれど、一方で反発もあろうから、私はブータン国王夫妻の真似ではないが、「幸福な社会づくり」と言い換えてはと提案している。
 幸福度や幸福な社会づくりについては、欧米では長い研究と実践の歴史があり、10年以上もハーバード大学の学長を務めたデレック・ボックら多くの「幸福研究者」により、さまざまな情報、成果が蓄積されている。日本の自治体でも行政施策に取り入れようと「研究会」もたくさん作られるようになってきている。
 一日も早く、「●●患者の幸福な社会づくり挑戦宣言」が皆さんの目にとまるよう頑張ります。その時は応援、参加ください。  (福士)